HITチャレンジ参加プロジェクト「S・F・P」 被災時の音の漏れない仮設トイレを製作しました。

2011年に発生した東日本大震災。被災から3日後のピーク時には、およそ47万人の避難者が発生し、避難所での暮らしを強いられました。その際に、問題となったことのひとつに、避難所でのトイレの音漏れ問題があります。被災時でも快適に安心してトイレを使えるように、広島工業大学工学部建築工学科のメンバーで結成された「S・F・P」のメンバーが、音の漏れない仮設トイレづくりに挑戦しました。

こちらが完成した仮設トイレ。S・F・Pは「Stress Free Project」の略です。

こちらが完成した仮設トイレ。S・F・Pは「Stress Free Project」の略です。

このプロジェクトは、学生の挑戦を応援する「HITチャレンジ」制度に採択され、大学から助成を受けて2013年度に活動しました。今回は、プロジェクトリーダーの星野友也君と、メンバーの小谷莉加さん、秋山絵梨香さん、倉本朝水さん(全員 工学部建築工学科 現3年)にお話を聞きました。

―プロジェクトを立ち上げたきっかけを教えてください。
講義棟三宅の森Nexus21のプリンタブースを使用していた時に、ブース外の音が聞こえにくいことに気付きました。この現象から"防音"ということに興味を持ち、被災地の仮設トイレに応用できないかと発想を広げていきました」(星野君)
当時2年生だった私は、授業でまだ体験したことのない実験ができると聞き、興味を持ちました」(秋山さん)
―どんな実験を行ったのですか。
トイレの外装材としてパーチクルボード・強化ダンボール・石膏ボードを、内部の吸音材としてゴムシート・卵トレイ・グラスウール・エアキャップを使用し、どの組み合わせのときに防音性が高くなるかを調べていきました」(星野君)
実験の経験もほとんどないので、音の大きさを測定する際には、わからないことがたくさんありました」(倉本さん)

左から、星野君、小谷さん、秋山さん、倉本さん。

左から、星野君、小谷さん、秋山さん、倉本さん。

―実験に役立てるために、実際に被災地にも行ったそうですね。
被災した方に伺ったところ、仮設トイレを防災訓練で組み立てた経験があるにもかかわらず、被災時には組み立てることができなかったそうです。現場で組み立てやすいものが必要なのだと感じました」(星野君)
トイレの防音について話を伺いに行ったのですが、被災した直後は音を気にしている場合ではなかったという言葉も強く印象に残りました」(秋山さん)
生で被災地を見ると、あらためてその被害の大きさを感じ、言葉を失いました」(小谷さん)
プロジェクトを進めるにあたり、大林組の技術研究所も見学させていただきました。実験について貴重なアドバイスをいただきました」(星野君)

「S・F・P」の活動の集大成である仮設トイレ。

側「S・F・P」の活動の集大成である仮設トイレ。

トイレ内部の様子。手すりも付けられています。

トイレ内部の様子。手すりも付けられています。

―そうした経験を生かして、こちらの仮設トイレがつくられたわけですね。
耐久性やつくりやすさなどを考慮して、素材には強化ダンボールとゴムシートを採用しました。ただ、重すぎるため機動性という点では問題が残りました。他にも防水性、コストなど、ものをつくるにはさまざまな条件を考えなければいけないことがわかり、とても勉強になりました」(星野君)
HITチャレンジ報告会のプレゼンテーションの時は、事前準備が少なかったため、発表時間が足りませんでした。要点を伝えるために、もっと事前に練習しておくべきだったと思います」(小谷さん)

防音壁製作の様子。

防音壁製作の様子。

1日がかりで製作しました。

1日がかりで製作しました。

―プロジェクトに携わったことでどんなことを学びましたか。
被災地や大林組技術研究所を訪ねた経験が印象に残っています。大林組では、なかなか見ることができない研究所の内部を見せていただき、刺激を受けました」(秋山さん)
会計を担当したのですが、金銭管理やコスト感覚の重要性を実感しました」(倉本さん)
報告会のプレゼンテーションはあまりうまくいきませんでしたが、次に向けてのいい経験になりました」(小谷さん)
さまざまな失敗をしたことは、自覚があります(笑)その中で、周囲の人間と協力して物事を進めていくことの難しさと意義を痛感しました」(星野君)

「今年度も、また別のプロジェクトでHITチャレンジ制度に申請する予定です」と星野君。

「今年度も、また別のプロジェクトでHITチャレンジ制度に申請する予定です」と星野君。

プロジェクトを指導した建築工学科の尾野本先生。「失敗の中からメンバーが人間的に成長する姿を目にすることができました。現在、次の課題に取り組んでいますが、今までの経験を生かし、より良いものを作り上げてくれると期待しています」

プロジェクトを監修した建築工学科の尾野本先生。「失敗の中からメンバーが人間的に成長する姿を目にすることができました。現在、次の課題に取り組んでいますが、今までの経験を生かし、より良いものを作り上げてくれると期待しています」

「仮設トイレとしてはまだまだ改良点が多い」と語るプロジェクトメンバーですが、ものをつくっていくうえで学んだことや身に付いたものがたくさんあったようです。この経験を生かし、今年度も新たなプロジェクトを計画しているそうです。HITチャレンジ選考会は7月、次はどんな企画が飛び出すか期待して待ちましょう。

学生自主企画プログラム「HITチャレンジ」制度

建築工学科

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