「これからの環境デザインと世界遺産の切っても切れない関係」 環境デザイン学科でOBを講師に講演会を開催しました。

7月16日、環境学部環境デザイン学科平田ゼミで、同ゼミのOBである北海道大学観光学高等研究センター特任准教授の花岡拓郎先生(2002年卒)をお招きし、講演会を開催しました。花岡先生は、広工大卒業後、神戸芸術工科大学大学院、九州大学大学院を経て青年海外協力隊に参加、その後文化財団で学芸員を経験し、現在は北海道大学にて、街並みや都市デザインについて、各々の国の歴史・宗教・文化・民族といった側面から研究され、世界各地の景観づくりや保護に取り組まれています。今回は「国際社会において、世界各国の文化、言語、習慣など多様性保全の観点から、各国が協調して世界遺産の保全に取り組むべき」という「世界遺産条約」の考え方に基づき、世界遺産登録を目指すヨルダン・ペルー、登録はされているがさらなる賑わいをもたらしたいと考えているエチオピアの3つの国からの協力要請を受けたJICAの一員として、各国に派遣された際の模様を講演されました。

「ヨルダン、ペルー、エチオピアから日本に寄せられた要望をJICAが総括、プロジェクトの推進団体を募集し、これに北海道大学が手を挙げました」ときっかけを語る花岡先生。

「ヨルダン、ペルー、エチオピアから日本に寄せられた要望をJICAが総括、プロジェクトの推進団体を募集し、これに北海道大学が手を挙げました」ときっかけを語る花岡先生。

各国で、現地の人々に出演してもらい、魅力的な町並みや歴史的建造物のPRをする動画を撮影された際のことも詳しくお話しいただきました。

各国で、現地の人々に出演してもらい、魅力的な町並みや歴史的建造物のPRをする動画を撮影された際のことも詳しくお話しいただきました。

「日本の町並みと都市デザイン」をテーマに研究を続ける中で、それぞれの地域独特の産業や伝統文化の重要性に気付いた花岡先生は、そうした考え方を世界に広げることを念頭にプロジェクトに取り組まれました。また、「単なるお金だけ、技術だけの提供ではありません」と花岡先生。現地の行政から人材やオフィス、電話などが提供され、各地域と一体になって景観づくりを推進、日本人スタッフが任務を終えて帰国した後も「現地の人々だけで街づくりを進めていけるように成長してほしい」という思いを持ってプロジェクトに臨んだそうです。

ヨルダンのサルトという町では、世界遺産登録を目指し、その定義や登録されるためのポイントなど基礎的な知識を現地の人と共有することから開始。古い建物の価値評価、建物ごとのふさわしい修復方法の検証などを行い、歴史的な景観を残す町並みということを前面に出し修復事業を行っています。

ペルーでは、標高約3,000~4,000メートル級の山岳地帯に位置するチャチャポヤスという地域での取り組みについて紹介。当初は「ロープウェイを設置する」という観光計画でしたが、花岡先生たちは「インカ道といわれる古代の道があることや、羊を飼って毛糸を紡いでいる人がいること、伝統的な窯でパンを焼いている人たちがいることをアピールしてみませんか」と提案、現地でワークショップを開き、住民らと試行錯誤を重ねていき、伝統文化や地域ならではの風習をアピールする方向に方針を転換することとなりました。

エチオピアでは、シミエンという国立公園での取り組みをVTRで紹介しました。この地はすでに世界遺産に登録されており、今後いかに自然環境保護と観光開発を両立させるかということが狙いでした。工芸品制作や農業にも力を入れており、現地では一風変わったパン焼き体験などができるなど、地域に密着できる観光地として世界中から人を呼ぼうという方向性を導きました。

「ペルーでは、明日お祭りだ!となると、普段キッチンでまるでペットのように飼っている動物を食用にするんです。驚きました」と文化の違いを語る花岡先生。

「ペルーでは、明日お祭りだ!となると、普段キッチンでまるでペットのように飼っている動物を食用にするんです。驚きました」と文化の違いを語る花岡先生。

「建物を修繕する際は、いつの時代のものを目指して復原するのですか?」と平田先生からの質問に「既存の建物の現状を把握し、過去に増築された部分を確認し、予算とも相談しながら、一つずつ検証していきます」

「建物を修繕する際は、いつの時代のものを目指して復原するのですか?」と平田先生からの質問に「既存の建物の現状を把握し、過去に増築された部分を確認し、予算とも相談しながら、一つずつ検証していきます」

現地で図面を描く、資料をまとめる、プレゼンをする、さまざまなシーンにおいて広工大で身につけた基礎的な能力が役立ちました」と花岡先生。やりがいのある素晴らしいお仕事の話を聞き、福間克也君(環境学部環境デザイン学科・4年)は「日本との文化の違いの話に驚きました。アメリカに留学する予定ですが、生活様式の違う人と交流を深め、町の様子をしっかり眺めてきたいと思います」と刺激を受けていました。

「母校で講演することが学生時代の夢でした」と花岡先生。「在学中、平田先生から“何ごとにも理由がある”と言われたことが今でも心に残っています。表面に見えるものだけじゃなく、裏側にひそむ物事の意味を考えることを意識しています」

「母校で講演することが学生時代の夢でした」と花岡先生。「在学中、平田先生から“何ごとにも理由がある”と言われたことが今でも心に残っています。表面に見えるものだけじゃなく、裏側にひそむ物事の意味を考えることを意識しています」

大学院に進学し、アメリカのイリノイ州に留学する予定の福間君。「とても勉強になりました。留学では日本と違う文化を吸収したいです」

大学院に進学し、アメリカのイリノイ州に留学する予定の福間君。「とても勉強になりました。留学では日本と違う文化を吸収したいです」

グローバルに活躍する先輩の話を聞き刺激を受けた学生の中から、第2、第3の花岡先生が現れることを期待しています。

環境デザイン学科

平田ゼミ・研究室

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