環境デザイン学科平田ゼミが岡山県倉敷市で「古民家再生」をテーマに見学会を実施 日本の風土に根付いたデザインを学びました。

環境学部環境デザイン学科平田ゼミでは、キャンパスの外に出かけて、現地視察を行い、さまざまな視点からデザインを学んでいます。9月20日、14名のゼミ生が岡山県倉敷市周辺に出かけ、古民家や街並みを見学しました。今回の古民家見学は、その土地・風土・歴史・習慣などに育まれた古民家を、居住者や経営者の要望と、社会環境や地域環境にどのように合わせながら再生計画を立てるべきかを学ぶために、学生自らが企画しました。

まずは早島町の「いかしの舎」と名付けられた日本家屋を見学しました。約360坪の敷地の中に建てられた明治時代末期の建物を改装して再生させたもので、現在は喫茶を始め、ウェディング、宴会、各種教室なども開催できる多目的な交流の場として利用されています。

趣のある白壁やなまこ壁が目に留まる「いかしの舎」。その名は岡山の明治期の歌人、岡直廬によって命名されました。

趣のある白壁やなまこ壁が目に留まる「いかしの舎」。その名は岡山の明治期の歌人、岡直廬によって命名されました。

「いかしの舎」は、畳表などの問屋として繁栄した寺山家の建物を改修したもの。石畳や板張りの壁に情緒を感じながら奥へ。

「いかしの舎」は、畳表などの問屋として繁栄した寺山家の建物を改修したもの。石畳や板張りの壁に情緒を感じながら奥へ。

玄関を入ると、天窓からの日射しが広々とした空間に降り注いでいました。頭上を横断するように掛けられている梁や、そびえたつ黒塗りの大黒柱、白壁にも目が奪われます。学生は、気になったポイントを、自分たちで撮影。印象に残った場所を記録し、後にコメントとともにレポートとして提出するためです。

琉球畳の研修室も撮影。室内の陰影は古民家ならではです。

琉球畳の研修室も撮影。室内の陰影は古民家ならではです。

雰囲気のある研修室で昼食タイム。もち米入りの炊き込みご飯に大満足。

雰囲気のある研修室で昼食タイム。もち米入りの炊き込みご飯に大満足。

続いて、伝統的な日本家屋が軒を連ねる観光名所、倉敷美観地区の町家通りに向かいました。「1時間半後に入口付近で待ち合わせにしよう」ということで、小グループに分かれ行動を開始しました。
まず、目に飛び込んできたのは、倉敷川を行き来する川舟です。船頭さんがかぶる菅笠、櫓をこぐ音が町並みの風情を豊かにしています。昔のままのような風景を味わいながら、町を散策しました。三原未紗子さん(環境学部環境デザイン学科・4年)は積極的に建物を見て回りました。「表通りからは全く分からなかったのですが、通りから一本入ってみると、その建物が他の建物と繋がっていることが分かり、驚きました

風情ある建物と川舟「天領丸」のゆるやかな動きを、写真に収めます。

風情ある建物と川舟「天領丸」のゆるやかな動きを、写真に収めます。

賑やかな通りから一本裏道に入ると、そこには静かで落ち着きのある空間が。倉敷が好きで何度も訪れている学生も。

賑やかな通りから一本裏道に入ると、そこには静かで落ち着きのある空間が。倉敷が好きで何度も訪れている学生も。

松浦優丘君(環境学部環境デザイン学科・4年)と川路浩太郎君(環境学部環境デザイン学科・3年)のグループは、偶然通りかかったデニム着物の専門店で、偶然、広工大の先輩である寺尾一弘さんに声をかけられました。寺尾さんは、平成2年に工学部建築学科(当時)を卒業し、16年間住宅メーカーに勤めた後、現在の仕事を始めたそうです。「着物や、古い町並みなどをじっと見ていると、昔の人の智恵や考え方を感じられるはず。現代にもその魂が生きていることに気づきますよ」と寺尾さん。仕事について、就職活動についてのアドバイスもいただきました。

見学の合間にお店もチェック。かわいいマスキングテープを見つけました!

見学の合間にお店もチェック。かわいいマスキングテープを見つけました!

思わぬ出会いとなった先輩の寺尾一弘さん(一番左)。「現場で多くのことを学びました。お客さまの幅広い嗜好に対応するためには、視野を広げることが大切ですね」

思わぬ出会いとなった先輩の寺尾一弘さん(一番左)。「現場で多くのことを学びました。お客さまの幅広い嗜好に対応するためには、視野を広げることが大切ですね」

最後の見学場所は、「サロン・ド・ヴァンホー」です。もとは醤油蔵の建物で、180年前に現在地に移築されました。現在は、改装してジュエリー作家である家主さんの展示ギャラリーとして使われています。土間に使われている梁は、傷んだ部分を再生する際に白木で継がれており、色合いをあえて残した様子が美しく目をひきました。また、暖炉まわりの壁にはガラス塊が埋められており、外の日射しが反射し輝いて見えます。この2カ所は撮影場所として大人気でした。

サロン・ド・ヴァンホーに到着。入り口横の暖炉が目をひきます。

サロン・ド・ヴァンホーに到着。入り口横の暖炉が目をひきます。

天井の高さが現代の建物に比べ、やや低くなっています。「昔の日本人の背丈はこれくらいだったのかな」

天井の高さが現代の建物に比べ、やや低くなっています。「昔の日本人の背丈はこれくらいだったのかな」

白木の色合いを残したままの梁(右上)。「建築技術的にも素晴らしいと言われ、継ぎ目はそのまま残しました」と家主さん。

白木の色合いを残したままの梁(右上)。「建築技術的にも素晴らしいと言われ、継ぎ目はそのまま残しました」と家主さん。

暖炉回りに埋め込まれた翡翠色のガラス。キラキラと輝いていました。

暖炉回りに埋め込まれた翡翠色のガラス。キラキラと輝いていました。

平田先生は「倉敷の美観地区町家通りにおいて“商い”の視点から再生された事例と、古民家を“オーナーの個性”から展示ギャラリーとして再生された事例という対照的なものを見学できたことが良かったですね。3年生は後期から宮島の古民家を対象として再生計画の実習をしますが、デザインする上で、古民家が育まれてきた環境と、これから先のことを予測しながら居住者や経営者の要望を生かしたデザインができるようになって欲しいですね」と話しました。
井本奈実さん(環境学部環境デザイン学科・4年)は「非日常の世界が見られて、新たな気付きもありました。来年から、住宅設備のショールームで働く予定ですが、今日の経験も役に立つと思います

今回のツアーの企画を担当した井本さん(左)と三原さん(右)。「みんなで非日常的な空間を見ることができ、勉強になりました。よい思い出もできました」

今回のツアーの企画を担当した井本さん(左)と三原さん(右)。「みんなで非日常的な空間を見ることができ、勉強になりました。よい思い出もできました」

「空間デザインは、対象空間を育んできた歴史や風土などを読み解き、依頼者の要望などの条件を把握しながら、自分がどう構築し直し表現するかが大切です」と平田先生。

「空間デザインは、対象空間を育んできた歴史や風土などを読み解き、依頼者の要望などの条件を把握しながら、自分がどう構築し直し表現するかが大切です」と平田先生。

学生は、帰りのバスの中で撮影した写真を見ながら、レポートにどのシーンを使用するか、頭を悩ませていました。今回の見学会で受け取った刺激が、今後の学びに生きてくることを期待します。

環境デザイン学科

平田ゼミ・研究室

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