五輪3連覇の偉業を成し遂げた野村忠宏さんを迎え、スポーツ講演会を開催しました。

夢を持ち続けて達成した五輪3連覇
リオデジャネイロ五輪、そして広島東洋カープの25年ぶりの優勝と、2016年はスポーツの持つ力の大きさをあらためて感じることができました。広島工業大学では、毎年、スポーツ界で活躍された方をお招きし、スポーツから得たものや経験を語っていただく「スポーツ講演会」を開催しています。今年は、柔道家の野村忠宏さんをお招きし、10月24日に「平成28(2016)年度スポーツ講演会」を開催しました。野村さんは、アトランタ、シドニー、アテネ五輪と3大会連続で金メダルを獲得し、日本中を熱狂の渦に巻き込みました。講演のテーマは「夢を持ち続ける そしてあきらめないこと」。努力を怠らず柔道に打ちこみ続け、3つの金メダルを得るに至るまでの経験を語っていただきました。

はじめに鶴学長があいさつ。「柔道は体とともに心も鍛えることができるスポーツです。野村さんのお話から、私たちも多くのことを学べるのではないかと期待しています」

はじめに鶴学長があいさつ。「柔道は体とともに心も鍛えることができるスポーツです。野村さんのお話から、私たちも多くのことを学べるのではないかと期待しています」

会場のデネブホールには、学生だけではなく、地域の方々も多数ご来場いただきました。

会場のデネブホールには、学生だけではなく、地域の方々も多数ご来場いただきました。

背負い投げと反骨心
3歳から柔道を始めた野村さん。幼いころは体が小さく、柔道もそれほど強くなかったそうです。中学入学時の体重は32キロ。私立の柔道強豪校に入ったものの、目立った成績を残すことができませんでした。そんな中で、苦しい練習を続ける力の源になったのは、好きだった「背負い投げ」。高校入学時に父親から「無理して柔道をしなくていいぞ」と言われた言葉も、「父に認められるような柔道家になりたい」という反骨心を生み、苦しい練習を耐える力となりました。

講演の前に、野村さんの柔道人生をまとめた動画が披露されました。

講演の前に、野村さんの柔道人生をまとめた動画が披露されました。

「私がチャレンジしてきた道のりを知っていただくことで、皆さんが前向きになってもらえたらうれしいです」と野村さん。

「私がチャレンジしてきた道のりを知っていただくことで、皆さんが前向きになってもらえたらうれしいです」と野村さん。

練習への意識を変える
大学に入っても、なかなか勝ちきれずにいた野村さん。そんな時に出会ったのが、1984年のロサンゼルス五輪で金メダリストに輝いた細川伸二先生です。練習に「慣れ」が生まれていたときに、細川先生から受けた「常に試合を意識して、目の前の1本ですべてを出し切る稽古を重ねていけ」というアドバイスが、限界を突破するきっかけとなりました。その後、学生チャンピオンとなり、迎えた1996年のアトランタ五輪。磨き続けてきた背負い投げで、見事、金メダルを獲得しました。

獲得した3つの金メダルを見せていただきました。

獲得した3つの金メダルを見せていただきました。

「悔しいことがあっても、その悔しさで自分を変えられます。自らの人生は、自らでつくり上げていってください」と激励の言葉をいただきました。

「悔しいことがあっても、その悔しさで自分を変えられます。自らの人生は、自らでつくり上げていってください」と激励の言葉をいただきました。

挫折を乗り越えて
2000年のシドニー五輪では、「全試合、別の技で勝つ」という宣言通りの快進撃で2つ目の金メダルを獲得。当初は、ここで引退する予定でしたが、柔道を続けていたときの輝きが忘れられず、野村さんは3連覇を目指し、2年のブランクを経て再び練習を開始します。しかし、2年のブランクを埋めるのは決して容易ではなく、試合では負け続け、柔道を嫌いになったこともありました。それでも、自分で決めた復帰だからこそ、あきらめることはしませんでした。常に自分の力を出し切ること、たとえ負けても心をポジティブに保つことを意識し続け、2004年のアテネ五輪で3つ目の金メダルを獲得することができました。

学生からの質問にも答えていただきました。「現役時代、休みの日は何をしていましたか?」「のんびり過ごしていました。本番に集中するために、オン・オフははっきりさせていました」

学生からの質問にも答えていただきました。「現役時代、休みの日は何をしていましたか?」「のんびり過ごしていました。本番に集中するために、オン・オフははっきりさせていました」

講演会後には抽選会が行われ、当選者には直筆のサイン色紙や著書を直接手渡していただきました。

講演会後には抽選会が行われ、当選者には直筆のサイン色紙や著書を直接手渡していただきました。

当選者の一人、柔道部主将の松下凌君(情報学部知的情報システム学科・3年)は、特別に背負い投げをかけてもらいました。

当選者の一人、柔道部主将の松下凌君(情報学部知的情報システム学科・3年)は、特別に背負い投げをかけてもらいました。

さらに、3つの金メダルを掛けさせてもらった幸運な学生も。「重かったです」と興奮の様子。

さらに、3つの金メダルを掛けさせてもらった幸運な学生も。「重かったです」と興奮の様子。

打ち込めるものに出会い、努力を続ける
野村さんにあらためて、お話を伺いました。
‐スポーツの力をどのように考えていますか。
「私は柔道にここまで育てられてきました。目標を見つけあきらめることなく追い続け、いろいろな挫折や苦しみも味わい、それを乗り越える努力もしました。その姿を見てもらい、またこうして語ることで、柔道をしていなかった人たちにも、感動や勇気を与えることができる、それがひとつのスポーツの力なんだと思います。また、広島の街にとってのカープのように、みんなが一つになれるのもスポーツの力ですよね」

‐次の世代を担う若い人たちにメッセージをお願いします。
「自分から能動的に動いて、一生自分が大切だと思えるものに出会ってほしいですね。勉強でもスポーツでも遊びでも趣味でもいい、本気になれる何かを見つけてほしいです。そして、その世界で目標を持って努力を続けることができれば、経験が必ず力になるはずです」

「保証のないチャレンジにすべてをかけて戦っているからこそ、アスリートの涙や輝きは多くのことを伝えられるのだと思います」と野村さん。

「保証のないチャレンジにすべてをかけて戦っているからこそ、アスリートの涙や輝きは多くのことを伝えられるのだと思います」と野村さん。

講演を聞きに来ていた広島工業大学高等学校柔道部の皆さん。「毎日の練習に集中して取り組むことの大切さを学びました」

講演を聞きに来ていた広島工業大学高等学校柔道部の皆さん。「毎日の練習に集中して取り組むことの大切さを学びました」

広島工業大学柔道部主将の松下君(右)と、次期主将の中本匠君(左 工学部機械システム工学科・2年)「野村さんと組んだときに、手から強さが伝わってきました」(松下君)「野村さんの練習への想い、姿勢が大変参考になりました」(中本君)

広島工業大学柔道部主将の松下君(右)と、次期主将の中本匠君(左 工学部機械システム工学科・2年)「野村さんと組んだときに、手から強さが伝わってきました」(松下君)「野村さんの練習への想い、姿勢が大変参考になりました」(中本君)

スポーツ講演会の実行委員長を務めた岩崎正幸君(工学部電子情報工学科・3年)「一流の方の講演からスポーツの素晴らしさを感じていただき、日々の生活の糧にしてもらえたらうれしいです」

スポーツ講演会の実行委員長を務めた岩崎正幸君(工学部電子情報工学科・3年)「一流の方の講演からスポーツの素晴らしさを感じていただき、日々の生活の糧にしてもらえたらうれしいです」

挫折は誰にでもありますが、そこをどう乗り越えるかで、その後の人生が大きく変わってくることを野村さんのお話から教えていただきました。心に響く数々のお話をありがとうございました。

体育会本部

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