
体験から科学への関心を深める
広島工業大学では、子どもたちに理科や科学に興味を持ってもらうため、「ワクワクものづくり大作戦」を開催したり、女子学生キャリアデザインセンター(通称:JCDセンター)による「出張理科実験教室」を開催するなど、さまざまな活動を行っています。その中で、特に重視しているのが、体験してもらうということ。授業を聞くだけではなく、自らの手で「ものづくり」を行うことで、理科や科学に対する興味・関心を深めることができると考えています。
10月1日から2日にかけて、江田島市の国立江田島青少年交流の家にて開催された江田島サイエンススクール。体験を通じて子どもたちの知的探究心や創造性を育むこのイベントに、工学部電子情報工学科の升井義博先生と環境学部地球環境学科の小西智久先生が協力し、楽しい実験・実習を行いました。
今回は、10月1日に升井先生と升井ゼミ所属の学生が担当した「スマートフォンと自作スピーカーでお気に入りの音楽を聞こう!~紙コップでスピーカーを作って電磁気学の基本法則を理解する~」の模様をお伝えします。
会場となった国立江田島青少年交流の家。小学4~6年生の子どもたち22名とその保護者が集まりました。
「私たちは、自然現象を利用して人を幸せにできないか、人の役に立てないかと考えながら研究を行っています」と升井先生。
この日のテーマは「音」
「音はなぜ聞こえるのだろう」という疑問から講義はスタート。それを確かめるために、紙コップを使った糸電話づくりを行いました。完成した糸電話の糸をぴんと張ったり、ぶらんと垂らしたり、途中を指でつまんでみたりと、さまざまに条件を変えて音の聞こえ方を確かめました。この「作って」「考えて」「確かめる」というプロセスが、科学的な思考を養っていきます。
「お母さん聞こえる?」糸を垂らした状態では音はよく聞こえません。
しかし、糸をぴんと張ると音が聞こえます。
まずは、糸電話を使って音が聞こえる仕組みを体験しながら学びました。
コップを使ってスピーカーを作ろう!
糸電話ではなく、より遠くの人と話をするために発明されたのが、私たちが使っている電話です。電話は、電気の力で音を伝えています。そこで、電気の力を確かめるために、紙コップとプラスチックコップ、コイル、磁石を組み合わせてスピーカーを作りました。
スピーカーの作り方
1 ボビンに導線を200回巻いてコイルを作る。
2 紙コップの底にボビンを貼り付ける。
3 プラスチックコップをカットし、外に1個、中に2個、磁石をセットする。
4 紙コップをプラスチックコップにかぶせて完成!
導線を巻くのは大変でしたが、たったこれだけの工作でスピーカーができることに、子どもたちは驚いていました。今回作ったスピーカーはダイナミック型スピーカーというタイプで、電磁気学の原理が関わっています。将来、高校や大学で学ぶ内容の一端に触れたことも、子どもたちにとっては大きな経験となったようです。
わからないところは、大学生のお兄さんがしっかりサポートします。「教える」ということは、学生にとっても貴重な経験。
こちらが完成したスピーカー。ピッタリ重なるように紙コップにガムテープを巻いて、厚みを調整します。
スマートフォンにつないで、コップを耳に当ててみると・・・音が聞こえた! 子どもたちは、簡単な材料を使ってスピーカーができることに驚いていました。
講座のサポートに当たった谷岡正陽君(工学部電子情報工学科・4年)「子どもたちへの指導を通じて、相手にわかりやすく正確に伝えることの難しさと重要性に気付きました。ありがとうと言われたときはうれしかったですね」
「世の中には不思議なことがたくさんあるということを、ぜひ子どもたちに知ってほしいと思います。学生には、活動を通じて実践力を身に付け、その力を社会に出た時に役立ててほしいですね」と升井先生。
最後に全員で記念撮影。
2日目には、小西先生が「人工衛星の画像から3D地図を作ろう!」というテーマで、宇宙から送られてくるデータを利用した地図作りの面白さを伝えました。
平面的な地図を標高ごとに切って重ねていき、立体的な地図を作っていきます。今回は、江田島の地図を作成しました。
今回のサイエンススクール通じて、「理科や科学って楽しい」と思ってもらえる機会になったのではないでしょうか。広島工業大学でも、「ふれあいフェスタ」や「ワクワクものづくり大作戦」など、子どもたちがものづくりを体験できるイベントを開催しています。ぜひご参加ください。