マツダで活躍するOBにインタビュー 現在の仕事やものづくりに対する強い思いについて伺いました。

マツダで活躍するOBの思い
広島に本社がある自動車メーカーマツダ株式会社には、これまで190人以上の広島工業大学の卒業生が入社しています。今回は、マツダで活躍する先輩達にお話を伺いました。より良い設計を目指す日々の仕事、失敗を糧に、大学時代に学んだ知識をベースに開発した故障診断システム、組立時の数万件ものチェック項目を洗い出した生産要件整理、辛い時に思い出す「初心」についてなど、仕事への熱い思いとそれを支えている広工大時代の経験について、存分に語っていただきました。

昨年、日本カーオブザイヤ―を受賞したロードスターと。左から、嘉代さん、福永さん、塚本さん、西田さん。

昨年、日本カーオブザイヤ―を受賞したロードスターと。左から、嘉代さん、福永さん、塚本さん、西田さん。

  • 塚本 英行さん 機械工学科(現 機械システム工学科・知能機械工学科)卒
    車両開発本部 ボデー開発部 ボデーシェル開発グループ
    ―お仕事の内容を教えてください。
    次世代車両のアンダーボデー(車の下側の部分)の設計を行っています。
    ―設計の仕事の面白さは何ですか。
    安全性や乗り心地、軽量化など、車両に求められている性能レベルをいかに上げていくかを考えますが、求められるものが相反している場合もあります。その着地点を探すことが、難しいところでもあり面白いところでもあります。生産現場の担当者と、時にはぶつかりあいながら自動車があるべき方向性を探っています。
    ―学生時代はどんな研究をしていましたか。
    流体の研究をしていました。直接、今の仕事との接点はありませんが、目的のためにどんなプロセスや手段を選択するかを考えるという点では、大学時代の研究と現在の仕事は共通する部分があります。たとえ失敗しても、それを次の仕事の糧にする、そうした考え方は大学の時に培われたと思います。
    ―広工大の先生の思い出はありますか。
    その時に学んでいることが、社会に出た時、どんなシーンで生きてくるのかを、想像できるような指導をしていただいたことを覚えています。将来をイメージしながら勉強すると、知識や技術の吸収スピードも変わってきます。

「設計の仕事は、ポジティブさが求められます」と語る塚本さん。悩んだとしても、目指す方向性をしっかりと見据えて根気強く取り組んでいく。笑顔の奥に、芯の強さが感じられました。

「マツダは、自分の意志を持って生き生きと働いている方が多いので、刺激を受けます」と塚本さん。

「マツダは、自分の意志を持って生き生きと働いている方が多いので、刺激を受けます」と塚本さん。

  • 福永 明さん 機械工学科(現 機械システム工学科・知能機械工学科)卒
    車両技術部 第1車両組立技術グループ
    ―お仕事の内容を教えてください。
    ボディ塗装後から完成車までの工程である車両組立を担当しています。
    ―具体的にはどのような仕事を行っているのですか。
    複数の設計者が設計した自動車を、実際に組み立てるときに、品質保証上の問題がないか、工程上の問題がないかを検証し、その結果を、設計や組立工程に反映しています。その検証作業を確実に実施するために、以前、組立工程の作業要素と注意事項に関するチェック表を作成しましたが、エンジンや足回り、電装部品の領域だけでも、そのチェック項目は約40,000にも上りました。根気のいる作業でしたが、必要な要件をあらかじめピックアップすることで、効率よく品質の高い自動車を生産することが可能になりました。この仕事は生産要件の折込確認といって、今ではデータ化され設計・量産準備プロセスに組み込まれています。
    ―大学時代のことで印象に残っていることはありますか。
    機械加工が好きになったのは、実習の授業でした。錆びた鉄の丸棒を削り、鉄アレイをつくったのですが、削った時に丸棒の中から美しい鉄が出てくることに感動しました。その時に初めて「機械加工がやりたい」と思いました。
    ―これからどんな仕事に携わっていく予定ですか。
    今はドライブフィール(運転性能)を、生産技術の観点からどのようにつくり込んでいくのかについて考えています。これからも、お客さまへの提供価値を考慮しながらモノづくりをしていきたいと思っています。

40,000という気の遠くなるようなチェック項目を洗い出し、体系化するという仕事に携わった福永さん。そうした根気のいる作業を可能にしたのは、本当にいいものを作りたい、価値の高いものを作りたいという思いであることが伝わってきました。

大学時代はモーターサイクル部に所属していた福永さん。「ツーリングやレースに参加し、自分で整備も行っていました。そこで培った技術や人間関係は今でも役立っています」

大学時代はモーターサイクル部に所属していた福永さん。「ツーリングやレースに参加し、自分で整備も行っていました。そこで培った技術や人間関係は今でも役立っています」

  • 嘉代 秀和さん 電気工学科(現 電気システム工学科)卒
    PT制御システム開発部 第2制御システム開発グループ
    ―お仕事の内容を教えてください。
    私は、エンジンの故障診断システムの設計を担当しており、これまで、ロータリーエンジンの搭載されているRX-8、ディーゼルエンジンが搭載されているCX-5、アテンザ、デミオ、CX-3の開発を行ってきました。エンジンの故障診断システムとは、 排気ガスを悪化させるエンジンの故障を、自動車自らで見つけて運転者に知らせるシステムです。このシステムは、自動車を使用している間ずっと働いています。
    ―普段はどんな業務を行っているのですか。
    故障診断をどのように行うかを考え、ソフトウェアの仕様書を設計しています。機械工学の知識とともに、回路に関する知識、熱力学に関する知識、さらに制御工学の知識が必要になってきますが、大学時代にその基礎を学びました。
    ―ほかに大学時代に培われたものはありますか。
    信念をもって仕事を進めていくというやり方を、大学で学ぶことができました。周囲としっかりコミュニケーションをとりながら、状況を判断し決断していく経験もできました。
    ―後輩に向けて、メッセージをお願いします。
    今をひたすら一生懸命に生きてみてください。勉強でも部活動でも手を抜かずに精いっぱい行うことが、次のステップにつながるはずです。

今の仕事は、理屈でものを考えることが多いと語る嘉代さん。仲間とのコミュニケーションを上手に取る力とともに、やりたいことをさっと数式で表現できるような数学や物理の知識も必要とされます。趣味のゴルフにも、理屈でものを考えるアプローチが活きているそうです。

「今後は、海外で直接、市場やお客さまと触れるような仕事をしていきたいですね。そこで、自分自身の対応力を鍛えていきたいです」と嘉代さん。

「今後は、海外で直接、市場やお客さまと触れるような仕事をしていきたいですね。そこで、自分自身の対応力を鍛えていきたいです」と嘉代さん。

平常時はシステムが正常に作動しているかどうか、故障時はその原因がどこにあるのか、自動車にパソコンをつないで直接情報を入手します。

平常時はシステムが正常に作動しているかどうか、故障時はその原因がどこにあるのか、自動車にパソコンをつないで直接情報を入手します。

  • 西田 晃さん 工学研究科 電子工学(現 工学系研究科 電気電子工学専攻)修了 、電子・光システム工学科(現 電子情報工学科)卒
    市場品質部 市場品質改善グループ
    ―お仕事の内容を教えてください。
    お客さまからいただいたクレーム情報に対して、自動車を改善していくべきかどうかを考えていく部署です。特にディーゼルエンジン関係の部品を担当しています。
    ―お仕事の流れを教えてください。
    もし、自動車に不具合が見つかった場合、設計、開発、車両工場や部品の製造業者などと協力し、何が問題なのか原因を究明し、全体を統括し判断を下すことになります。初動で情報をつかみ、いかに早く適切に対応できるかがポイントです。
    ―お仕事のやりがいはどんなところに感じますか。
    お客様に安心安全なカーライフを提供するために不具合の原因を探していきますが、不具合の原因が判明したときは、出された問題の解が分かったような達成感があります。お客さまと非常に近い位置にいる仕事なので、その声を吸い上げ、設計や組立の担当者に伝えていくことで、より良いものを作ることに繋がっていくと思っています。
    ―後輩にメッセージをお願いします。
    自分がやりたいことがあれば、それを貫き通してほしいです。そして、その気持ちを忘れずに持っていてほしいですね。「初心忘るべからず」といいますが、辛いことがあったときは最初の気持ちを思い出して乗り越えてほしいと思います。

大学進学時に電子情報工学科を選択した西田さん。携帯電話が普及しはじめた時代、これからの時代のことを考えての選択だったのですが、電子情報や通信を学んだことが今の仕事にも繋がっています。

「学生時代に、電子工学の基礎を学んでいたことが役に立っています。設計部門の担当者と直接話をする際に、知識があるとより深い話をすることができます」と西田さん。

「学生時代に、電子工学の基礎を学んでいたことが役に立っています。設計部門の担当者と直接話をする際に、知識があるとより深い話をすることができます」と西田さん。

携わる分野は違っても、それぞれの分野で誇りをもって仕事に携わっている4人のOB。一人ひとりが持つものづくりへの真面目で強い思いが、マツダの快進撃を支えています。広島工業大学で培った経験を基に、今後どのような自動車が生み出されるのか、期待が高まるところです。
最後になりましたが、マツダ株式会社の皆さま、お忙しいところ取材にご協力いただき、本当にありがとうございました。

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