一人ひとりができる支援とは 「視覚障がいへの理解を深めるための講演会」を開催しました。

まずは理解することから始める
2016年4月1日、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」いわゆる「障害者差別解消法」が施行されました。障がい者に対する支援を考える際に大切なのは、障がいを知り理解を深めることです。広島工業大学でも障がい学生支援への取組みや環境整備が進められています。1月12日、その取組みの一環として、「視覚障がいへの理解を深めるための講演会」を開催しました。

障がいの状態は一人ひとり違う
「視覚障がい者は真っ暗で何も見えていないという偏ったイメージをもっていませんか?」と講師を務められた広島市立自立訓練施設 視覚障害生活訓練等指導者の萬(よろず)あおい先生。視覚障がい者の中には、全く光が感じられない方だけでなく「見える範囲が狭い」「全体がぼんやり見える」「まぶしさを強く感じる」など、さまざまな方がいらっしゃいます。そして、困っていることも、必要な援助もさまざまです。視覚障がいの種類や見え方などを教えていただきながら、一人ひとりの障がいの状態を理解することの大切さ、どのような手助けを求めているのかを尋ねる大切さを学びました。

「障がいについての理解を深めたい」「困っている人の手助けができるようになりたい」と約60名の学生や教職員が参加しました。

「障がいについての理解を深めたい」「困っている人の手助けができるようになりたい」と約60名の学生や教職員が参加しました。

講師の萬先生。「視覚障がい者だからこうだとひとくくりにせず、正しい理解をお願いします」

講師の萬先生。「視覚障がい者だからこうだとひとくくりにせず、正しい理解をお願いします」

最も安全な移動方法「手引き」
視覚障がい者が移動する方法には、白杖、盲導犬、手引きなどがありますが、見えている人が目的地まで誘導する「手引き」は、最も安全で確実な移動方法だと言えます。しかし、慣れないとなかなか難しいもの。視覚障がい者が歩きやすく、安心できる手引きのポイントや、誘導時の注意点などを教えていただきました。

手引き者と視覚障がい者との距離、狭いところを通る時の合図、階段の昇り降りのポイントなど、手引きのしかたをレクチャーしていただきました。

手引き者と視覚障がい者との距離、狭いところを通る時の合図、階段の昇り降りのポイントなど、手引きのしかたをレクチャーしていただきました。

「右にイスがあります。ここが座面です」などと声をかけて、状況を説明することも重要なポイント。手引きするときに大切なのはお互いのコミュニケーションです。

「右にイスがあります。ここが座面です」などと声をかけて、状況を説明することも重要なポイント。手引きするときに大切なのはお互いのコミュニケーションです。

実際に「手引き」を体験
続いて手引きの実習です。視覚障がい者を誘導する「手引きする側」と、アイマスクをつけ何も見えない「手引きされる側」の両方を体験しました。「人間は五感のうち約8割を視覚に頼っていると言われています。見えない状態では他の感覚がどのように働くのか、どのようなことが怖いか、距離感がいつもとどのように違うのかといったことも意識してみてください」と萬先生からアドバイスをいただきました。

「5階の教室を出て階段へ→階段を昇って6階へ→エスカレーターで5階へ降りて教室に戻る」というルートで手引きを体験。歩き慣れた廊下が見えない状態ではどう感じるでしょうか。

「5階の教室を出て階段へ→階段を昇って6階へ→エスカレーターで5階へ降りて教室に戻る」というルートで手引きを体験。歩き慣れた廊下が見えない状態ではどう感じるでしょうか。

学生自ら「手すりを持ったら安全なのでは」と考え「ここに手すりがあるよ」と相手の手を手すりに誘導。こうした行動に萬先生も感心されていました。

学生自ら「手すりを持ったら安全なのでは」と考え「ここに手すりがあるよ」と相手の手を手すりに誘導。こうした行動に萬先生も感心されていました。

難関と思われた階段も、声をかけ合いしっかり状況を説明することでスムーズに昇ることができました。見えないとき何が手がかりになるのかを意識しながら進みます。

難関と思われた階段も、声をかけ合いしっかり状況を説明することでスムーズに昇ることができました。見えないとき何が手がかりになるのかを意識しながら進みます。

普段何気なく使っているエスカレーターも、見えない状態では難しく感じます。手足の感覚と手引き者の「終わります」の合図が重要。

普段何気なく使っているエスカレーターも、見えない状態では難しく感じます。手足の感覚と手引き者の「終わります」の合図が重要。

積極的に声をかけてみよう
最後に、萬先生から「手を貸してしてほしいと思っても、知らない人には頼みにくいもの。街中で視覚障がいのある人が困っていたら、皆さんの方から声をかけてください」と伝えられ、学生はこの言葉をしっかりと受け止めていました。

参加した学生の声を紹介します。
「いままで視覚障がいのある方を見かけたときに、何かお手伝いができないかと思いつつ、どのようにしたらいいのか迷っていました。アイマスクをつけたとき、見えない状態では言葉がすごく大切なのだということを実感しました。これからは、視覚障がいのある方が信号待ちをしていたら『信号変わりましたよ』と一言でも声をかけるようにしたいと思います」(西川雅子さん/生命学部食品生命科学科・3年 ※2016年1月取材当時)

見えない状態を体験したとき、いつも歩いている安全な学内でも怖いと感じました。外に出ると、さらに危険がいっぱいです。視覚障がいのある方が一人で移動するのは難しいとあらためて気づいたので、困っていたら積極的に声をかけたいと思います」(川下大風君/工学部都市デザイン工学科・3年 ※2016年1月取材当時)

「五感の約8割を占めるという視覚情報が無い状態を体験してみて、見えない不安からなのか、足先の感覚がいつもより敏感になったことに驚きました。見えない状態はそれだけ心細いということ。今後は周りに気を配って、白杖を持っている人を見かけたら率先して声をかけます」(大野拳汰君/情報学部情報工学科・3年 ※2016年1月取材当時)

「アイマスクをつけているとき、歩く距離がすごく長く感じましたが、言葉で説明してもらえることで安心できました」と西川さん。

「アイマスクをつけているとき、歩く距離がすごく長く感じましたが、言葉で説明してもらえることで安心できました」と西川さん。

「困っている人を見かけたら、積極的に声をかけます」体育会で活躍している川下君(右)と大野君(左)。大野君は手話もできるそうです。

「困っている人を見かけたら、積極的に声をかけます」体育会で活躍している川下君(右)と大野君(左)。大野君は手話もできるそうです。

体験から多くのことを学び、理解を深める
必要とする手助けは一人ひとり違うこと、言葉でコミュニケーションをとって相手を尊重することなど、体験から多くのことを学ぶことができました。広島工業大学では、今後も障がい者支援に関する講演会を行っていく予定です。学生の皆さん、ぜひ積極的に参加し、障がい者支援への理解を深めるきっかけにしてください。

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