マツダスタジアムの地下は巨大なため池? 建築設備を研究する宋ゼミの学生が現地見学会を実施しました。

球場の地下にあるものとは?
広島東洋カープの本拠地球場である「MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島」(以下マツダスタジアム)。シーズン中は熱戦が繰り広げられるグラウンド、その地下には何があると思いますか? 実は、雨水を貯める大きな「雨水貯留施設」があるんです。
1月12日、建築設備を研究する環境学部環境デザイン学科の宋ゼミの学生5名が、マツダスタジアム地下の大州雨水貯留池を見学しました。いつも見慣れたスタジアムの意外な一面に驚くとともに、ゲリラ豪雨などの災害への備えがしっかり整えられていることと資源としての雨水の活用(水のリデュース)を実感することができました。
※環境デザイン学科は、2016年度から「建築デザイン学科」に改編されます。

広島市南区南蟹屋にあるマツダスタジアム。2009年にオープンし、毎年、熱戦が繰り広げられています。

広島市南区南蟹屋にあるマツダスタジアム。2009年にオープンし、毎年、熱戦が繰り広げられています。

スタジアムの北側、つたに囲まれた北搬入棟から、地下へと潜っていきます。

スタジアムの北側、つたに囲まれた北搬入棟から、地下へと潜っていきます。

地下に雨水貯留池ができた理由
マツダスタジアム北側の北搬入棟からエレベーターで地下へ約7m、さらにコンクリートの長い通路を進んでいくと、壁が湾曲した部分が見えてきます。「ここはちょうど外野フェンス、バックスクリーンの真下です」と案内していただいた広島市下水道局の保森さん。外野フェンスから内野のマウンドにかけて、グラウンドの地下に円を描くように雨水貯留池が広がっています。
この雨水貯留池ができた目的は2つあります。1つは局所的な豪雨の増加による浸水被害を回避するためです。広島駅南側の地域で、もともとある下水管の能力を超える雨が降った場合など、その雨水が流入管を通ってスタジアムの地下に流れてきます。この貯留池に雨水が流入したのは6年間で16回、そのうち貯留池が満水になったのは2回です。施設ができたことで、周辺地域の浸水を大幅に軽減することができました。一時的に貯められた雨水は、天候回復後、広島県の東部浄化センターできれいに処理され河川に放流しています。
もう1つの目的は資源としての雨水の活用です。屋根やグラウンドに降った雨は、ろ過・消毒し、グラウンドへの散水やトイレ用水、さらにスタジアム南側の「せせらぎ水路」の水として使われています。ただ、最近は野球観戦のお客さんが増え、カープ3連戦のトイレの水をすべて雨水で賄えないことも増えてきているそうです。

地下貯留池の平面図。中央の赤い円が雨水貯留池の場所を示しています。

地下貯留池の平面図。中央の赤い円が雨水貯留池の場所を示しています。

地下には、浸水対策用に7,000立方メートルの貯留池が2つあります。これは、小学校のプールの約54杯分です。

地下には、浸水対策用に7,000立方メートルの貯留池が2つあります。これは、小学校のプールの約54杯分です。

続いて、貯留池の中に入れてもらいました。大きな柱が何本も立ち、奥までは見渡せないほどの広い空間に学生もビックリ。柱に付いたゴミの跡は、そこまで豪雨により雨水が貯まったことを物語っています。さらに、床面の泥に目を向けると、細長いもやしがヒョロヒョロと伸びていました。「広島駅周辺のお好み焼き屋さんからの排水に、もやしが含まれていたのかもしれませんね」(保森さん)

貯留池内部。過去に満水になったときは、この大きな貯留池が1時間もたたずにいっぱいになったそうです。

貯留池内部。過去に満水になったときは、この大きな貯留池が1時間もたたずにいっぱいになったそうです。

床面に残った泥から伸びるもやしの芽。その生命力に学生も驚いていました。

床面に残った泥から伸びるもやしの芽。その生命力に学生も驚いていました。

雨水を活用しているせせらぎ広場は、子どもたちでにぎわう人気のスポット。雨水利用の取組みは平成21年度国土交通大臣賞「循環のみち下水道賞」を受賞しました。

雨水を活用しているせせらぎ広場は、子どもたちでにぎわう人気のスポット。雨水利用の取組みは平成21年度国土交通大臣賞「循環のみち下水道賞」を受賞しました。

この並んでいるマンホール。実は災害時にトイレになります。マツダスタジアムは広域避難所に指定されており、そのトイレの水にも一部雨水を活用した水が使われます。

この並んでいるマンホール。実は災害時にトイレになります。マツダスタジアムは広域避難所に指定されており、そのトイレの水にも一部雨水を活用した水が使われます。

本物を見ることで広がるイメージ
見学会に参加したのは、これから卒業研究に取り組む予定の3年生です。施設を見学した感想を聞きました。
仁後雄理君「実際の貯留池の広さやにおい、雰囲気を体感できてよかったです。論文や図面を見るときも実物がイメージしやすくなりました
東ひかるさん「野球観戦が好きでよく知っている建築物なので、興味深く見ることができました。これから雨水の利用法についての研究を深めていく予定ですが、スタジアムは研究対象としても面白いですね」
平中天馬君「宋ゼミでは、建物が研究対象なので、現地に見学に行くことが多いですね。すでにデータ収集を行っているグループもあり、大学を飛び出して社会との接点を持つことが多いと思います」

左から仁後君、東さん、平中君。広島を代表する建築物の裏側を見学でき、研究へのモチベーションも上がったそうです。

左から仁後君、東さん、平中君。広島を代表する建築物の裏側を見学でき、研究へのモチベーションも上がったそうです。

「下水道局の方に丁寧に教えていただき、施設の構造、歴史、今後の計画まで幅広く学ぶことができました」と仁後君。

「下水道局の方に丁寧に教えていただき、施設の構造、歴史、今後の計画まで幅広く学ぶことができました」と仁後君。

卒業研究へ向けて
見学した3年生は、これから就職活動と並行しながら、卒業研究の準備を進めていきます。仁後君、東さん、平中君の3人は、雨水の活用というテーマで、それぞれが設計、計画、評価に分かれて調査分析を行っていきます。マツダスタジアムという大きな建築物の裏側を見学できたことで、研究への意欲が大きくアップしたのではないでしょうか。

環境デザイン学科

建築デザイン学科

宋ゼミ・研究室

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