電波を吸収する無数の「トゲトゲ」 広工大にある「電波暗室」をご紹介します。

生活に欠かせない「電波」
スマートフォン・携帯電話をはじめ、無線LAN、テレビ、ラジオなど、日常生活のあらゆるところで利用されている電波。高度情報化社会の発展において、その役割はますます重要性を増しています。無線通信などの情報通信システムを学ぶ電気システム工学科では、電波を操るための重要な要素であるアンテナの動作原理に関する研究を進めています。そのための高度な実験を可能にしているのが「電波暗室」です。

レベルの高い実験を可能にする「電波暗室」
電波暗室とは、内部で電波が反射しないように設計された空間のことで、アンテナの動作実験など電波の測定に使用する特殊な実験室です。内部で電波が反射しないほか、外部に電波をもらさない、外部からの電波の影響を受けないという特徴があります。
そもそも、電波暗室がない環境で許可なく電波を発すると、他の通信に妨害を与えてしまう恐れがあるため、実験などで電波を発射することは法律で制限されています。また、電波暗室がない環境では、周りの電波の影響を受けてしまい、正確な測定ができません。そこで、より高いレベルの学びを実現するために電波暗室を設置し、いつでも自由に目的に応じた高度な実験を行うことができる環境を整えています。

電波暗室の内部。外部から電波の影響を受けないよう鉄で囲まれたシールドルームの内部は、床面、天井、壁面、6面全てに電波吸収体が敷き詰められています。企業の研究開発で使われている電波暗室と同様の設計です。

電波暗室の内部。外部から電波の影響を受けないよう鉄で囲まれたシールドルームの内部は、床面、天井、壁面、6面全てに電波吸収体が敷き詰められています。企業の研究開発で使われている電波暗室と同様の設計です。

3年次の授業「電気システム実験D」の様子。本格的な設備を使って、より実践的に無線通信システムを学ぶことができるため、本学は第1級陸上特殊無線技士および第2級海上特殊無線技士の無線従事者免許の確認校になっています。

3年次の授業「電気システム実験D」の様子。本格的な設備を使って、より実践的に無線通信システムを学ぶことができるため、本学は第1級陸上特殊無線技士および第2級海上特殊無線技士の無線従事者免許の確認校になっています。

アンテナを研究する小西ゼミ
アンテナのスペシャリスト、小西先生のゼミでは、アンテナの研究・開発のために電波暗室を活用しています。アンテナといえば、テレビのアンテナを思い浮かべる方も多いと思いますが、ほかにも現代にはさまざまなアンテナがあります。スマートフォンやパソコンにもアンテナが内蔵されていますし、無線LANにもアンテナは欠かせません。つまり、電波を操るアンテナの技術は、情報通信システムの発展に欠かせない分野といえます。電波を利用して通信を行うあらゆる場面を想定し、目標に向かって正確に電波を発信することができるか、遠くからの微弱な電波を高感度に受信することができるか、特定の方向からの電波を強く受信できるかといった実験を重ねながら、それぞれの場面に最適なアンテナを研究・開発しています。

「ピラミッド型の電波吸収体が電波を吸収し、空間全体に電波が吸い込まれていくイメージ。電波にとっては無限に広がる空間です。アンテナの研究・開発には欠かせない設備です。狙い通りの動作になっているか、実験を重ねながら研究を進めています」と小西先生。

「ピラミッド型の電波吸収体が電波を吸収し、空間全体に電波が吸い込まれていくイメージ。電波にとっては無限に広がる空間で、アンテナの研究・開発には欠かせない設備です。狙い通りの動作になっているか、実験を重ねながら研究を進めています」と小西先生。

測定した数値は、接続したパソコンに記録され、グラフ化します。学生が自ら作成したアンテナの動作を、学生自身が実験し課題を発見しながら性能をアップさせていくことで、電波の操り方をより深く理解することができます。

測定した数値は、接続したパソコンに記録され、グラフ化します。学生が自ら作成したアンテナの動作を、学生自身が実験で確め、課題を発見しながら性能をアップさせていくことで、電波の操り方をより深く理解することができます。

充実した設備で行う本格的な実験
トンネルや地下街など、横長な場所での無線通信に最適なアンテナの研究を行っている日下道康君と竹田朋弥君に話を聞きました。
「私が学部生の頃は、まだ学内に電波暗室はありませんでした。電波暗室ができたことで、本格的な実験ができるようになり、成果を実感しながら研究を進めることができるようになりました」(日下道康君/大学院 工学系研究科 電気電子工学専攻 博士前期課程)
「はじめてトゲトゲの電波暗室を見たときのインパクトは大きく、実験に対する意識が変わりました。本格的な設備で実験を行えることは、とてもいい経験になっています」(竹田朋弥君/電気システム工学科・4年)

「先生の熱心な指導で、見えない電波の魅力をたくさん知ることができました。本格的な実験ができる環境だから、学習意欲も向上します」と、日下君(右)と竹田君(左)

「先生の熱心な指導で、見えない電波の魅力をたくさん知ることができました。本格的な実験ができる環境だから、学習意欲も向上します」と、日下君(右)と竹田君(左)

目指せ!情報通信のスペシャリスト
スマートフォンやパソコンなどの通信に興味を持っている高校生の皆さん、電波暗室などの設備が充実した本学で、情報通信のスペシャリストを目指しませんか。

電気システム工学科

小西ゼミ・研究室

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