社会を変える研究の数々 表彰された大学院生・研究室を紹介します。

専門的な知識を培う大学院の学び
広島工業大学には、大学4年間を終えた後に進学することのできる大学院があります。大学院には修士・マスターと呼ばれる博士前期課程と、博士・ドクターと呼ばれる博士後期課程の2つがあり、学部を卒業した学生はまず博士前期課程で2年間学び、修了後、就職と博士後期課程への進学を選択することになります。
大学院は、学部生とは違い授業数はそれほど多くないため、自身が追求する研究に力を注ぐことができます。さらに、高い専門知識を身に付けることができ、大手企業をはじめ希望できる企業に就職できる可能性が高まります。特に、企業で研究開発職に就きたいと考えている人にとっては、大学院進学は有利に働くはずです。また、後輩に指導する機会も多く、自然とリーダーシップを養うこともできます。

院生がさまざまな学会で活躍中
2015年、専門知識と創造力を身に付けた院生がさまざまな賞を受賞しました。今回は、機械系および情報系の院生と研究室の表彰についてご紹介します。

Case1
授賞者:増野秀一君
所属:大学院 工学系研究科 博士前期課程 機械システム工学専攻 2年
学会名:日本金属学会中国四国支部
授賞した賞:優秀講演発表者
論文テーマ:仮焼結後にカプセルフリーHIP処理して作製した多孔質焼結チタンの性状に及ぼすHIP処理圧の影響

高温・高圧で新しい材料を開発
増野君は、2015年8月に行われた日本金属学会中国四国支部主催の中国四国支部講演大会で行った講演が評価され、12月の若手フォーラムの場において表彰されました。

―研究内容を教えてください。
HIP装置※を使ってチタン粉末の圧粉成形体や仮焼結体に高い圧力をかけ、多孔質体という穴のたくさん空いた素材をつくる実験を行い、圧力を変えることでの変化を調べました」
HIP装置―熱間等方圧プレスという方法で、材料に高熱・高圧を加え、主として材料内にある閉じた空隙を押しつぶし、材料を緻密化することにより高性能な材料を生み出す装置。

―チタンの多孔質体はどんな分野に利用可能ですか。
「高い強度と安全性から、人工骨などの医療材料に応用が可能です」

―研究を続けていくモチベーションはどう保っていましたか。
「予想し、実験し、うまくいかない場合は条件を変える。研究は試行錯誤の連続ですが、地道に問題を突き詰めていくことは、自分自身の性に合っていたので苦労は少なかったです。問題点を探り解決する力は、研究を通して身につけられたと思います」

―材料開発の魅力は何ですか。
「材料はものづくりの根っこの部分にあるものです。どんなものづくりもまずは「材料」から、そこに携われる魅力は大きいですね」

―指導していただいた岡部先生へ一言お願いします。
「10回近く学会で発表を行いましたし、昨年はインドネシアの国際会議でも発表を行うことができました。これも、先生にはそうした場を提供いただいたからだと思います。とても感謝しています」

―後輩に向けても一言お願いします。
「疑問を持って興味を広げ検討し、実験などでその謎を解明していく。そんな研究プロセスの面白さを味わってほしいですね」

「学部生の頃から多孔質焼結チタンの研究を続けてきましたが、まだまだ奥深い部分があると感じています。もっと時間をかけたかった部分もありますが、今の条件の中ではやりきったという思いもあります」と増野君。

「学部生の頃から多孔質焼結チタンの研究を続けてきましたが、まだまだ奥深い部分があると感じています。もっと時間をかけたかった部分もありますが、今の条件の中ではやりきったという思いもあります」と増野君。

2年連続で学会表彰を受けた増野君。「表彰という形で研究内容を認められたことは、これから仕事に就くうえでの大きな自信になります」

学部を通して今回で2回目の学会表彰を受けた増野君。「表彰という形で研究内容を認められたことは、これから仕事に就くうえでの大きな自信になります」

実験を繰り返したHIP装置。「研究室と装置のある部屋を何度も往復したことが、思い出に残っています」

実験を繰り返したHIP装置。「研究室と装置のある部屋を何度も往復したことが、思い出に残っています」

実験で作り出した多孔質焼結チタン。50マイクロメートルの小さな穴が空いています。※1マイクロメートルは1000分の1ミリメートル

実験で作り出した多孔質焼結チタン。50マイクロメートルの小さな穴が空いています。※1マイクロメートルは1000分の1ミリメートル

Case2
受賞者:DAQ-Middlewareチーム(高エネルギー加速度研究機構、広島工業大学、大阪大学、株式会社Bee Beans Technologies、Open-It)
授賞した賞:RTミドルウェア普及貢献賞(教育・研究分野/研究業務活用)

情報収集システムの開発が評価される
情報学部情報工学科長坂ゼミと高エネルギー加速度研究機構らが組む「DAQ-Middlewareチーム」が、RTミドルウェアの普及に貢献したとして普及貢献賞を受賞しました。長坂ゼミの堀裕貴君(大学院 工学系研究科 博士前期課程 情報システム科学専攻 2年)に表彰について聞きました。

―どんな研究を行っているのですか
「研究室では、他の研究機関や大学と共同してデータ収集(DAQ)システムの構築に関する研究を行っています」

―RTミドルウェアとは何ですか。
RTミドルウェアとはロボットテクノロジー、つまりロボットを制御するミドルウェアを指します。ミドルウェアとは、OS(オペレーションシステム)とアプリケーションソフトの中間的な処理を行うソフトウェアのこと。私たちは、その技術をデータ収集に応用し、ソフトウェアフレームワーク「DAQミドルウェア」を開発、ベースとなったRTミドルウェアを普及させたことが評価され表彰されました」

―どのような分野に応用が可能ですか。
「センサから温度や湿度のデータを収集する建物内の室内環境管理や、土地の持つ情報を収集することで農業などへの応用も考えられます。このシステム開発は、いわゆるビッグデータと言われるデータを、どのように集めてくるかにつながっていきます」

―研究の面白さはどこにありますか。
「大学院では他の研究者の方と共同で研究する機会も増え、議論の中から新たなアイデアが生まれることも多く、非常にやりがいを感じています。システム開発の現場で、新しいものを生み出している実感があります

―大学院での経験は今後にどう活きていくと思いますか。
「大学院生として研究開発に携わった経験、そのプロセスを知ったことは、就職してからも必ず役に立つと思います」

「大学院生は、他の大学や企業の方とともに研究を進める機会が多くあります。Skypeを通したミーティングも頻繁に行っています」と長坂先生。

「大学院生は、他の大学や企業の方とともに研究を進める機会が多くあります。Skypeを通したミーティングも頻繁に行っています」と長坂先生。

「長坂先生は、学生一人ひとりに目を配り、いつも適切なアドバイスをくださいます」と堀君。RTミドルウェア普及貢献賞の表彰状とともに。

「長坂先生は、学生一人ひとりに目を配り、いつも適切なアドバイスをくださいます」と堀君。RTミドルウェア普及貢献賞の表彰状とともに。

「大学で行われたRTミドルウェアの講習会で興味を持ったのがきっかけで研究を始めました。DAQミドルウェアを中心に、効率的なデータ収集システムの開発に関する研究を行っています」と堀君。

「大学で行われたRTミドルウェアの講習会で興味を持ったのがきっかけで研究を始めました。DAQミドルウェアを中心に、効率的なデータ収集システムの開発に関する研究を行っています」と堀君。

堀君は、2015年11月に行われたIEEE広島支部学生シンポジウムにおいても、優秀研究賞を受賞しました。「大学院生生活の最後に表彰されたことは、今後の自信にもつながります」

堀君は、2015年11月に行われたIEEE広島支部学生シンポジウムにおいても、優秀研究賞を受賞しました。「大学院生生活の最後に表彰されたことは、今後の自信にもつながります」

岡部ゼミ・研究室

長坂ゼミ・研究室

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