防災、減災をキーワードに環境や土木を学ぶ 第28回公開シンポジウムを開催しました。

広島工業大学では、学内だけではなく学外の方にも近年の研究テーマや大学の取り組みをお伝えする"学びの場"を提供しています。2月7日、広島県JAビルにたくさんの方々を迎え、恒例の「公開シンポジウム」を開催しました。今年度のテーマは「安全・安心、そして快適な社会の実現のために ~社会基盤整備の現状と課題~」。特別講演や基調講演、さらにパネルディスカッションを通じて学びを深めました。

会場となった広島市中区の広島県JAビル。

会場となった広島市中区の広島県JAビル。

「昨年夏の広島市土砂災害や、4年前の東日本大震災など、自然の驚異について考える機会が増えています。大学としても環境や土木をキーワードに研究を進めていきたいと思います」と鶴学長があいさつ。

「昨年夏の広島市土砂災害や、4年前の東日本大震災など、自然の驚異について考える機会が増えています。大学としても環境や土木をキーワードに研究を進めていきたいと思います」と鶴学長があいさつ。

第1部では横浜国立大学の藤野先生による特別講演と、4件の基調講演が行われました。

  • 特別講演
    横浜国立大学 先端学科高等研究院 上席特別教授(特任)
    藤野 陽三氏
    テーマ:「環境土木工学の社会的貢献」
    藤野先生の専門分野である橋について具体的事例を基に幅広くお話を伺いました。人通りの多さから揺れが大きい橋を調査し、人が歩く際の左右の揺れが橋にまで及ぶことを突き止めた事例をご紹介されました。フランスでも類似の事例が発見され橋の使用が中止されるなど、世界的な貢献度の高い研究の説明に参加者は聞き入りました。
  • 基調講演
    独立行政法人 土木研究所 理事長
    魚本 健人様
    テーマ:「災害対策とメンテナンス~将来を見据えた技術開発~」
    講演で聴講者がじっとみつめたのは、長野県の木曽川水系滑川中流の映像です。大きな岩や土砂が流されるシーンから、砂防ダムの必要性を説かれました。こうした工事の現場を無人化する技術がすでに開発されており、判断能力のあるロボットが雲仙普賢岳の工事をする場面が紹介されました。
     
    広島大学大学院 総合科学研究科 教授
    フンク・カロリン氏
    テーマ:「社会基盤整備と環境」
    環境都市を掲げるドイツのフライブルグ市を例に、公共交通機関での移動を快適にしたことで、自動車移動だけに頼らない"モーダルシフト"を実現させることができたと解説されました。さらにドイツと日本のエネルギー政策の違いをご紹介されました。
     
    国土交通省 中国地方整備局 企画部長
    足立 徹氏
    テーマ:「中国地方整備局における防災・減災の取り組み」
    急傾斜地が多い中国地方。自然災害に備えるために2008年度に設置された緊急災害対策派遣隊「TEC-FORCE」が、広島の大規模土砂災害で行った活動の事例をご紹介されました。
     
    西日本高速道路株式会社
    執行役員 技術本部長
    角田 直行氏
    テーマ:「高速道路の建設及び維持管理の現状と課題」
    全国に約9,000キロ広がる高速道路。中でも名神高速道路が今年50周年を迎えることや、橋梁の約4割が築後30年を経過している現状を説明されました。コンクリートやのり面、舗装を監視するシステムを導入することにより、高速道路は維持管理という新時代に入っていくことを強調されていました。
「私は、土木とはインフラだと言っても言い過ぎではないと思っています。橋、高速道路、地下街などを始め、広い意味では田園なども含まれると思います」と藤野先生。

「私は、土木とはインフラだと言っても言い過ぎではないと思っています。橋、高速道路、地下街などを始め、広い意味では田園なども含まれると思います」と藤野先生。

実際に岩や土砂が流されるシーンを見せながら解説を加える魚本氏。

実際に岩や土砂が流されるシーンを見せながら解説を加える魚本氏。

「ドイツのフライブルグ市の公共交通機関の利用率は約6%ほど増えました」とフンク・カロリン先生。

「ドイツのフライブルグ市の公共交通機関の利用率は約6%ほど増えました」とフンク・カロリン先生。

足立氏は、過去の中国地方における災害発生状況を地図で解説。

足立氏は、過去の中国地方における災害発生状況を地図で解説。

広工大の卒業生でもある角田氏。「講師を務めさせていただき、言葉にできない感激があります」とあいさつ。

広工大の卒業生でもある角田氏。「講師を務めさせていただき、言葉にできない感激があります」とあいさつ。

続いて、第2部では工学部都市デザイン工学科の十河先生がコーディネーターとして加わり、講演いただいた5名の方々によるパネルディスカッションが行われ、議論をさらに深めました。
聴講された池田純一さんは「建物などの"割れ"や目視検査による、異常をみつける仕事をしています。仕事に役立てたいと思います」と話しました。
同じく聴講した松村一輝君(工学部都市デザイン工学科・3年)は「以前島根や鳥取に住んでいたのですが、最近訪れた際に道路事情がすごく良くなったと感じ、土木に興味を持ちました。道路などの維持管理の仕事に就きたいと考えています」と未来に向けて語りました。

第2部のパネルディスカッションは、インフラと防災という観点で議論を深めました。最後に藤野先生が「災害で国を滅ぼさないための仕組みづくりや、合意形成が大事ですね」とまとめました。

第2部のパネルディスカッションは、インフラと防災という観点で議論を深めました。最後に藤野先生が「災害で国を滅ぼさないための仕組みづくりや、合意形成が大事ですね」とまとめました。

左から十河先生、角田氏、足立氏、鶴学長、フンク・カロリン先生、藤野先生、魚本氏、司会の丸子さま。

左から十河先生、角田氏、足立氏、鶴学長、フンク・カロリン先生、藤野先生、魚本氏、司会の丸子さま。

聴講された池田さん。終始、熱心にメモを取られていました。

聴講された池田さん。終始、熱心にメモを取られていました。

松村一輝君「講演を聞いて、卒業研究では橋や道路などの施工管理やメンテナンスを取り上げたいと思いました」

松村一輝君「講演を聞いて、卒業研究では橋や道路などの施工管理やメンテナンスを取り上げたいと思いました」

公開シンポジウムで聞いた防災や減災に関する話は、これからの生活で、さまざまな場面で生かせると感じた一日になりました。

公開シンポジウム

都市デザイン工学科

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