「被災者の安らぎの場を創る」 建築屋たちがコレクティブハウジングを提案

工学部建築工学科のメンバーで結成された「建築屋たち」は、建築を通じて社会のさまざまな問題と向き合う活動を行っています。2014年度は東日本大震災で家を失った避難生活者の暮らしに着目し、孤独死を少しでも減らすためのコレクティブハウジングを提案することを目的に活動を行いました。コレクティブハウジングとは、独立した住居スペースを持ちながら生活の一部を共同化した住まいのことです。活動内容について、メンバー3人に話を聞きました。

右から倉本朝水さん、秋山絵梨香さん、星野友也君。2013年度に被災地で利用する仮設トイレを製作したメンバーが中心となり、ふたたび被災地支援プロジェクトを立ち上げました。活動は、前年に引き続き、学生の企画を大学が支援する「HITチャレンジ」制度に採択されました。

右から倉本朝水さん、秋山絵梨香さん、星野友也君。2013年度に被災地で利用する仮設トイレを製作したメンバーが中心となり、ふたたび被災地支援プロジェクトを立ち上げました。活動は、前年に引き続き、学生の企画を大学が支援する「HITチャレンジ」制度に採択されました。

「被災者同士のつながりをつくる場が大切だと感じ、設計を行いました」と代表の星野君。

「被災者同士のつながりをつくる場が大切だと感じ、設計を行いました」と代表の星野君。

6月に活動がスタート。先行事例を研究しながら、メンバーが1人1枚ずつ図面を書き、講評会を実施。8月には被災地に出向き、避難生活を行っている方にヒアリングを行ったり、建築候補地を見学したりしました。「設計図面を見ていただき、高い評価をいただきました。候補地の周囲の環境を知ることができたのもよかったです」(倉本さん)
その経験を踏まえ、図面を再検討し行政の方に提案、コスト面の問題など現実的な部分での指導をいただきました。さらに、建築工学科の栗崎先生にもアドバイスをいただき、最終的に2つの案を提案することにしました。「住民の孤立を防ぐための人感センサーや、部屋の中の気配を感じることができるスリット付きドアを採用しました」(秋山さん)

メンバーで行った講評会の様子。いただいた意見をもとに、協議を重ねました。

メンバーで行った講評会の様子。いただいた意見をもとに、協議を重ねました。

「公務員志望ですが、被災者へのヒアリングの際に、住民に寄り添ったサービスが本当に大切なんだと実感しました」と秋山さん。

「公務員志望ですが、被災者へのヒアリングの際に、住民に寄り添ったサービスが本当に大切なんだと実感しました」と秋山さん。

修正を施した図面を持って行政に再度提案を行いましたが、公営住宅ではさまざまな制限があることがわかり、老人ホームを運営されている民間業者の方に提案を行ったところ、高い評価をいただきました。「ゆとりのある設計やプライベートスペースが確立されている部分が評価され、設計を採用することも可能だとご意見をいただきました」(星野君)

模型製作は2年生が担当。癒しの場としての家庭菜園やオープンな趣味室を設ける部分にこだわりました。

模型製作は2年生が担当。癒しの場としての家庭菜園やオープンな趣味室を設ける部分にこだわりました。

「もともと引っ込み思案だったのですが、活動を通じて、話すことが苦手ではなくなりました。苦労したこともたくさんありましたが、仲間との結び付きも強くなりました」と倉本さん。

「もともと引っ込み思案だったのですが、活動を通じて、話すことが苦手ではなくなりました。苦労したこともたくさんありましたが、仲間との結び付きも強くなりました」と倉本さん。

「模型づくりは、設計図や工程、材料を考える必要があるので、実際の建物をつくるのと近い感覚を養えます」と指導を行った尾野本先生(右)

「模型づくりは、設計図や工程、材料を考える必要があるので、実際の建物をつくるのと近い感覚を養えます」と指導を行った尾野本先生(右)

模型を製作した2年生の仲川正則君(右)とともに。「建築を利用する方のことを考えて設計や模型製作を行うことは、とても勉強になりました」(仲川君)

模型を製作した2年生の仲川正則君(右)とともに。「利用する方のことを考えて設計や模型製作を行うことは、とても勉強になりました」(仲川君)

建築屋たちの活動は、社会人基礎力育成グランプリ2015 中国・四国地区大会で優秀賞を獲得し、2月に行われた決勝大会に出場しました。決勝大会では入賞することはできませんでしたが、活動を評価されたことはメンバーの大きな自信となりました。また、被災者と行政、双方の立場や考え方の違いを知ることができたのも、いい経験となったはずです。こうした経験を踏まえた今後の活動が期待されます。

学生自主企画プログラム「HITチャレンジ」制度

建築工学科

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