データの蓄積でビジネスや社会を変える 2015年度公開講座を開催しました。(その2)

毎年5月から6月にかけて、広島工業大学の研究や教育を一般の方々にもわかりやすく紹介する「公開講座」を開催しています。今年度のテーマは「社会を変革する情報技術をわかりやすく ~人と人、モノとモノ、人とモノ、すべてがつながるネットワークとその周辺情報技術~」。情報学部情報工学科と知的情報システム学科の教員が講師となり、6つの講座を開講しました。
6月13日、最後の6講座目として、知的情報システム学科の青木真吾先生が講演を行いました。テーマは「人の知識をコンピュータで利用するためのシステム工学的アプローチ」です。

会場となった「合人社ウェンディひと・まちプラザ」(旧広島市まちづくり市民交流プラザ)

会場となった「合人社ウェンディひと・まちプラザ」(旧広島市まちづくり市民交流プラザ)

この日は2講座開催され、学生からご年配の方まで多くの方にお越しいただきました。

この日は2講座開催され、学生からご年配の方まで多くの方にお越しいただきました。

青木先生はOR(オペレーションズ・リサーチ)を中心に最適化技術に関する研究を行っており、人の意思決定を支援するシステムづくりに取り組んでいます。
講義の前半では「情報」という概念を、その歴史や言葉の定義から振り返りました。情報・知識の伝達手段は、大きく分類すると遺伝子(DNA)、音声・動作、記録媒体(メディア)の3つにわかれます。特に3つ目のメディアによる情報伝達は、洞窟に描かれた壁画、甲骨文字、紙や印刷機の発明、新聞・ラジオ・テレビと発展していく中で、さらに便利に使いやすくなっていきました。そして現在、コンピュータとネットワーク技術の発達が、双方向の情報発信やデータの蓄積を可能にしています。

「情報やデータを用いる際は、目的やビジョンを明確にすることが大切です」と青木先生。

「情報やデータを用いる際は、目的やビジョンを明確にすることが大切です」と青木先生。

包絡分析法(効率性を分析する方法の一つ)は、日々の生産活動に応用することも可能です。

包絡分析法(効率性を分析する方法の一つ)は、日々の生産活動に応用することも可能です。

後半では、コンピュータの発展によりデータの蓄積が可能になった結果、社会やビジネスはどう変わっていくのかというお話がありました。例えば、在庫管理システムにおいては、ICT(情報通信技術)の活用により、必要なものを必要なだけ調達することが可能になりました。ただ、現場レベルにおいては、大量の在庫を抱えていないと商売にならない場合もあります。つまり、統計的な在庫管理理論が通用しなくなり、担当者が経験と勘で判断している部分が発生してきています。
こうした問題を解決するために先生が研究を続けているのが、包絡分析法(DEA)です。多入力・多出力システムに対応可能な点、そして競合企業との相対比較による評価が可能な点により、近年脚光を浴びている手法です。最も優れたパフォーマンスを残した場合を効率的フロンティアと設定し、そこと相対評価することでオンリーワン企業になるために必要な条件、改善の方向性を得ることができます。
最後にまとめとして、データを用いる際には目的を明確にすること、データ化領域と未データ化領域を区別すること、コンピュータと人間ができることを区別することなど、現状の課題を説明し講座は終了しました。

聴講した島根不動産株式会社代表取締役社長の高山伸介さんにお話を伺いました。
蓄積されたデータを意思決定に活かす方法を教えていただき、とても参考になりました。大学で研究が進んでいる最先端の技術や手法は、通常であれば学会などで発表されると思いますが、こうした形で市民に広くわかりやすく説明していただけるのはとてもありがたいです。企業経営のヒントをいただきました

「青木先生の意思決定支援システム、そして前の講座で趙先生が説明されたクラウド技術はどちらも、業務に直接役立つようなお話でした」と高山さん。

「青木先生の意思決定支援システム、そして前の講座で趙先生が説明されたクラウド技術はどちらも、業務に直接役立つようなお話でした」と高山さん。

「情報システムは、人が幸せに、よりよくなるためのものであってほしいと思います。この講座が情報学に興味を持ってもらうためのきっかけになればうれしいですね」と青木先生。

「情報システムは、人が幸せに、よりよくなるためのものであってほしいと思います。この講座が情報学に興味を持ってもらうためのきっかけになればうれしいですね」と青木先生。

広島工業大学では、大学の学びをわかりやすく解説する講座を今後も開催してまいります。来年以降も、ご期待ください。

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